統合失調症と私

ペンネームレベルダウン

今、この仕事にはまってます(革細工)

はじめまして。作業所の利用者でペンネーム<レベルダウン>と申します。なの花会の就労継続B型作業所のことを、このブログの場を借りて書いてみたいと思います。とはいっても、私自身まだ利用者としては若輩者でこちらに来て日も浅いのです。
私は28歳の頃に統合失調症を発症しました。症状は幻聴と幻覚で、覚醒していても夢を見ているようなことが目の前で日常的に起きていました。幻聴では、自分に対しての差別的な言葉や誹謗中傷を繰り返し受けていました。このころ、あるホテルで4年ほどパートの仕事をしていました。当時そのホテルは大変人気があり、多忙な毎日でした。自分はほかの人よりも仕事が早くまじめだったためか、多くの仕事を押し付けられていましたが、実は一生懸命やるのはタバコを吸いたいという目的があったからです。はじめは隠れて吸っていましたがバレてしまい、禁煙となってからはストレスがたまってしまい、ついに大爆発を起こして統合失調症発症の引き金になったのだと思います。
幻聴は日増しにひどくなりました。ある日、幻聴に導かれるままに風呂場にビールを持ち込み、タバコを吸いながら自傷行為をしていました。何度か気を失い数時間経ったと思います。気が付くと血だらけの状態でしたが、気力を取り戻して体力回復のため布団の上で寝ていました。次の朝になるともっとひどい状態で、まもなく警官に発見され、すぐに救急搬送されました。それから1カ月入院していましたが、退院すると真っ先にタバコを吸っていました。

ところで、入院中は精神科の主治医やワーカーさんからは随分お世話になりました。でも、その頃はまだ働く気にもなれず、このままでは生活ができなくなるといった不安もあって、自分では不本意ながらも生活保護の申請手続きをしてもらいました。
ある時主治医から、何もせずぼんやり毎日を過ごしているのは良くないと言われ、自分でもそれはそうだなと思いました。それからまもなく障害者就業・生活支援センターの方が来て、一緒に求職活動をすることになりました。はじめに障害者枠で水産加工会社を紹介されました。以前も同じ業種で働いた経験もあったのでいけると思い、そこに行くことにしました。

その後、就労支援員の方からB型作業所の施設をいくつか紹介され、その中の一つが今いるなの花会だったのです。最初に見学した時、自分でも何かやりがいのある仕事がここでできるかもしれないと感じました。
ここでの仕事は、貝殻の細工、革の細工、それにパソコンの解体などが主な作業です。自分に不向きな作業もあるし、頑張ってもうまくいかないものもあるけれど、一番いいのは自分に合った仕事に出会えるかどうかだと思います。
一番最初に取り組んだ作業はリサイクル部門の電子機器の解体でした。パソコンやその周辺機器と言われる様々な製品がありますが、今の電子機器には必ずプリント基板が使われています。そこには「都市鉱山」と呼ばれる貴金属(レアアース、レアメタル)が含まれる部品が集積しているのです。
また、有害物質も含まれているために、こうした小型電子機器に関する再資源化のための法律ができ、処分や売り買いなどには注意が必要になったのです。

私の作品です

今自分が主に取り組んでいるのは革細工です。色々な商品がありますが、ここではストラップを例に作業の手順を説明します。
①まず使用できる革の選別から始まります。革屋さんからいただく革のハギレから、星や月、楕円形などの型抜きをします。この型抜きには、少しのコツと力がいるので、女性には大変な作業だと思います。革に水を含ませ、鋼鉄製の鋭い歯のついた型を当て、木づちで10回から15回ぐらい打ち付けます。裏用と表用の2枚を切り取ります。
②そうやって切り取った革に、今度は金属製の刻印で、あらかじめ決められたデザインのとおりに刻印していくのです。ここまでの作業は主に男性が担当します。きれいに思い通りの刻印が打てるようになるには、ある程度の経験が必要です。
③刻印が終わったら次は着色です。刻印の型に沿ってメタリック系統の0.5mmのボールペンでなぞっていきます。このままだと水に溶けやすくインクに含まれるラメが飛び散ってしまうので、しばらく乾かします。ここまでが表面の作業です。
④その合間に、裏面にも別の刻印をします。このあと裏表を張り合わせ、表面にニスを塗って仕上げます。
⑤できあがった革にストラップならヒモを、キーホルダーなら金属を付けてラッピングすれば完成です。

デザインはある程度パターンが決まっていて、はじめは指導員さんに教わりながら作ります。商品として出せるレベルになるまでには多少時間もかかりますが、今はスキルアップして自分のオリジナルを出せるまでになりました。あとは店頭に並べて頂いたものが、お客様の目に止まって手に取っていただけるかどうかです。
できれば、時間を費やしても納得のいく美しい作品が作れればいいなと思っています。


ペンネーム:レベルダウン

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